主役となると疲れの度合いが違う。公演22日間で5回も点滴
花緑には落語家以外にも「役者」の顔がある。これまで数多くの演劇公演に出演してきた。
「好きなんですね。2009年の『江戸の青空』という芝居は落語ネタをごちゃまぜにしたものなので自然に演じられました。公演が終わっても、共演の役者さんとワイワイやってる楽しさが忘れられなくて、落語に戻れないこともありました」
「江戸の青空」を世田谷パブリックシアターで見たが、花緑が楽しそうに演じていたのを覚えている。
「芝居をやって勉強になったのは、ひとつの役を掘り下げて演じることです。落語は1人で何役もやるのでひと役を掘り下げることがない。それを実践したことで、落語でも自然に感情注入ができるようになりました。『紺屋高尾』や『妾馬』のような人情噺を、主人公になりきって照れずに演じられる。時には自然と涙があふれることもある。すると主人公の感情がお客さまに伝わり、感動を呼ぶ。近ごろ、『花緑の人情噺は泣ける』と言ってもらえるようになったのは演劇活動の成果です」
以前、この欄で柳家喬太郎をインタビューした際、こまつ座の芝居に主演した話の中で同じことを言っていた。芝居は落語にいい影響を与えるようだ。