NHK朝ドラ「まんぷく」で気になる “缶詰の人”の最強DNA
そう話すのは、著書に「男たちの宝塚」がある映画・演劇ライターの辻則彦氏だ。辻氏が続ける。
「『笑艶・桂春団治』という舞台で祖父と共演した子役時代の扇治郎さんは、酒屋の丁稚を演じました。酒を注ぐのに『(一升瓶の)口を開け』と寛美扮する春団治に言われ、自分の口を開けるなどしたやり取りで爆笑を取り、『天才子役』と言われたほどです。そのまま喜劇の道を歩む選択もあったのですが、上京して劇団青年座研究所で、演技の基礎をきっちりと学んだのが強み。現在は新喜劇以外に自主公演にも取り組んでいます」
関西の笑いというとコテコテのイメージがあるが?
「その風味が薄いのが、彼の場合はかえって吉と出ているのでは? 映画『家族はつらいよ』シリーズでは、ちょっと気の弱い巡査を演じて“山田組”のメンバーにもなっています。『まんぷく』でも“強烈な個性がないのが個性”を生かして茶の間に受け入れられていますね。寛美が亡くなってから28年が過ぎ、今では寛美を知る人も少なくなっているぶん、偉大な祖父の呪縛から解き放たれ、さらなる活躍が期待できます」(前出の辻氏)
最強の喜劇役者のDNAを継ぐ、新たなスター誕生となるか。