落語家・桂米團治さん 米朝は稽古が終わると飲ませ上手に
飲み始めたのは小学生の頃。オヤジのお弟子さんらに正月に「ちょっとなめてみ」と勧められ、恐る恐るなめたのが最初です。いただきもののいいお酒やったろうに、「うぇ」という感じでした。
弟子入り後はカバン持ちしてましたけど、お茶屋さんに行っても「車の中で待ってろ」じゃなくて、ちゃんと上げてくれました。僕だけじゃなく、他の弟子にも同じで、米朝一門は古き良き日本のぜいたくな飲み方を見せてもらっていました。
師匠はお稽古ではキセルをたばこ盆にコツーンと叩きつけて、「なんで覚えられへんねん、おまえは!!」と厳しいのに終わったら、人が変わるんですよ。楽しいお酒で冗舌になって、チャリ舞を踊ったりね。飲ませ上手でもあって「行きまひょ、行きまひょ」とついで回る。弟子の僕にも。そんなんやから、下戸の人でも米朝と一緒にいたら半年で飲めるようになっていました。
晩年、脳梗塞を発症して要介護状態になってからも夜、自分でヨチヨチ歩いて台所から一升瓶を出してきて、「ちょっと、これいこか」言うて、自分で瓶のツメを開けて飲んでいました。