どこまでも他者に寄り添う「藤井隆」は唯一無二の芸人
どうしていいかわからずに迷っていた時に「そんなアナタの考え方はどうでもいいから目の前のことちゃんとしてくださいって、厳しく指導してくださった方が多かったのが、ホントにラッキーだった」(NHK「スタジオパークからこんにちは」16年10月28日)という。その指導どおり、目の前のことを一生懸命やっていたら、みんなに受け入れられた。その経験から「他人が言って下さることのほうが絶対に正しい」(同前)と思うようになっていった。
レーベルを立ち上げたのも、そんな恵まれた自分の経験を、今度は、「歌ったら似合うだろうな~」とか、「オリジナルの楽曲があれば面白そうだな」と思う芸人たちに提供するためだ(オリコン「ORICON NEWS」19年2月22日)。
では、自分は何をしたいのかと問われると、藤井は「『僕を見てください』っていうのもないし、自分自身には関心がない」(LINE「ライブドアニュース」18年8月3日)という。
「『僕はこう表現したいんです』ではなく、『こういうのはどうです?』ってプレゼンしているようなつもりでやっています。それをキャッチしてくださる方がいらっしゃるということを糧に、僕は頑張れる」(同前)
きっと藤井隆の表現者としての核に「自分」はいない。どこまでも他者に寄り添うことで、「藤井隆」という唯一無二の芸人をプロデュースしているのだ。