音楽活動できない事務所の状況は長瀬智也とって監獄だった
ジャニーズ事務所の「会見力」が上がっている。本連載初回で触れた中居正広の退所会見に嵐の活動休止会見……。
記者との温かな空気が醸成され、好意的に報道もされた。恐らくその根底には“2018年の失敗”の反動があるだろう。
山口達也。壇上にも立たず、取り囲んで責め立てるような口調の記者たちに対し、「またTOKIOとしてやっていけたら」と返した山口。事件としては起訴猶予処分だったが、世論は「山口は甘い」という空気に。
記者会見の対応ひとつで、30年続いたタレント生命も一瞬で絶たれることがある……と、ジャニーズ事務所関係者は強く肝に銘じたはずだ。
そこに端を発するのが長瀬智也の退所報道だ。だが、マネジャーとの独立や不仲なども取り沙汰されたSMAPらとは違い、理由はシンプルだ。
「長瀬智也は音楽がやりたい」のである。
長瀬の音楽への熱はすさまじいものがある。20歳の頃から、自分で楽曲を作り続けて約20年。自作曲のストックは500を超える。自宅のスタジオで音を作り込み、ギターはもちろん、機材のケーブルや電気のボルト数までこだわり、レコーディングエンジニア並みの知識量で、レコード会社のスタッフにも自ら指示を出す(※1)。