最高の贅沢?巨匠リドリー・スコット作「最後の決闘裁判」を観に行ったら“完全貸し切り”状態だった
おまけに、だ。来年1月公開予定のリドリー・スコット次回作『ハウス・オブ・グッチ』の予告編が劇場でバンバン流れている。レディー・ガガ主演であのグッチ一族の物語を描くとなれば、絶賛公開中の『最後の決闘裁判』は若干(?)地味な印象を受けてしまうのも無理はないわけで。客入りが鈍い要因のひとつになってしまっているように思える。
しかし、作品の名誉のためにも明言しておくと、『最後の決闘裁判』は個人的には非常に良くできた作品だと思う。三者の視点から描かれる「現実」の差異と、「真実とは?」という関心を求心力に映画は進むが、最後まで観るとそんな「真実がどうか?」といった次元を超えて、残酷で不条理な場所に置かれた女性の姿が浮き彫りになる。昨今の#MeToo運動とも共鳴するテーマを持ったタイムリーな一作になっている。
「面白い新作映画が観たいけど、まだ映画館で人と並んで過ごすのがちょっと怖い……」。そんな人には、うってつけの一本だ。
(文=ライター・キタハラ)