「hana -1970、コザが燃えた-」松山ケンイチが沖縄の怒りと苦悩を体現
脚本・畑澤聖悟、演出・栗山民也は名作「母と暮せば」のコンビ。
今年5月で沖縄返還から50年を迎えるが、本土復帰後も沖縄には米軍専用施設が集中している。しかも、日本政府は「台湾有事」をあおり、沖縄を含む奄美・八重山など南西諸島の自衛隊ミサイル基地化を推進し、辺野古の新基地建設も県民の反対にもかかわらず進んでいる。
戦後、アメリカの軍政下に置かれ、理不尽な圧政に苦しめられた沖縄県民が本土復帰を前に怒りの臨界点に達したのが、タイトルとなっている「コザ騒動」だ。
舞台は1970年12月20日の深夜。コザ市ゲート通りにある、米軍公認のAサインバー「hana」。経営者はヒモのジラースー(神尾佑)と同居するおかあ(余貴美子)。この日、久しぶりに息子のハルオ(松山ケンイチ)が店に現れる。彼は高校を卒業した後、アシバー(ヤクザ)になって何年も家に寄り付かなかった。
そこに地元で教員をしている弟のアキオ(岡山天音)が祖国復帰集会帰りに同僚の比嘉(櫻井章喜)と本土のカメラマン・鈴木(金子岳憲)を連れてやってくる。実はこの日、おかあがかくまっている脱走米兵(玲央バルトナー)を「JATEC」(反戦脱走米兵援助日本技術委員会)に引き渡す手はずになっていたのだ。