「津田梅子~お札になった留学生~」明るくはなく苦みが強いドラマだったが…
5日夜、スペシャルドラマ「津田梅子~お札になった留学生~」(テレビ朝日系)が放送された。主人公の津田梅(後年は梅子)は、明治期に女子英学塾(現在の津田塾大学)を創立した教育者だ。2024年に改刷される5000円札の肖像になることが決まっている。
維新から間もない明治4年、わずか6歳でアメリカに留学。帰国は11年後の明治15年だが、梅(広瀬すず)はアメリカと比べて女性の地位があまりに低いことに驚く。当時、女性は結婚して子どもを産み、夫や家を陰で支えることが常識とされていた。アメリカ仕込みの英語、知識、自立する能力も身に付けた女性を十分に生かせるまでには社会が成熟していなかった。
このドラマも決して明るくはない。いや、かなり苦みが強い。橋部敦子のオリジナル脚本は、ドラマとして重くなることは承知の上で、自身の能力を発揮する場を得られないことに苦しむ梅に寄り添っていく。同じく「新紙幣の肖像」である、渋沢栄一とは異なる先駆者像を見せてくれた。
梅は25歳で再びアメリカに留学し、帰国後は女子教育にまい進する。「結婚していない女は何もできない」と言われた時代に生涯独身を貫いた。
そんな梅を支えてくれたのが留学仲間の山川捨松(池田エライザ)や永井繁(佐久間由衣)。その友情物語がドラマにぬくもりを加えていた。