「昇也は何をやっても器用にこなします。ただ、それで終わって欲しくない」
米助は真打ち昇進を相撲に例えた。
「真打ちは幕内に入ったようなもの。師匠を見習って、末は横綱、大看板になりますように」と期待を込めた。
口上が終わると、昇太の高座である。得意の「時そば」は従来の型ではなく、昇太ならではの爆笑ネタにアレンジしているので、客席をひっくり返した。
そして、トリの昇也が演じたのは「大工調べ」。大工の棟梁が啖呵を切る場面は歯切れが良く、言い立てを終えた後、拍手が起こったほどだ。立派な真打ちの芸と、高く評価したい。
連載の最後に、落語芸術協会会長としての昇太の弁で結びとする。
「僕は運がいいんですね。会長になってから、若手の人気者がたくさん出て、寄席に客を呼ぶようになった。『芸協さんは今、絶好調ですね』とよく言われます。これからも落語芸術協会の寄席興行を見にいらして下さい」
(聞き手・吉川潮)