大ヒット任侠ドラマ「日本統一」の仕掛け人 鈴木祐介氏が開いた新境地と“掟破り”な仕事術
「どうして、ここまで続く」「なぜ大ヒットなのか」と、業界でも話題沸騰なのが任侠ドラマ「日本統一」シリーズだ。2013年のスタートからあれよあれよと54作を数え、この秋には劇場版も公開、地上波ドラマにもなった。制作の舞台裏を聞くと、エグゼクティブ・プロデューサーの鈴木祐介氏は「これまで逆境、ピンチの連続でした」と、こう言う。
「劇場版も、コロナ禍で何度も制作を延期し、実は立ち消え寸前だったんです。やりたいけど、中途半端にはしたくない。頭を抱えました」
──どうやって切り抜けたのか。
「それなら、小規模でやるのはどうだろうと。思いつきで言ったところ、会議室の空気ががらりと変わったのを覚えてます。劇場版なら大バジェット(予算)でというのが業界の不文律というか、つくり手の夢でもあるのですが小バジェットは駄目というものでもない。さらにスピンオフならフットワークも軽くできます」
──スタッフ、メインキャストから「話が違う」などの怒りや反対は?
「本宮泰風(主演兼プロデューサー)さんはぜひやろう、それでいこうと。他の皆も一致団結し、まとまってくれました」
──どんな窮地も、諦めるのではなく、自分たちでやり方や考えを変えて乗り越える。
「はい。スタートからして、東映のVシネマなど、ビデオ映画はレンタルビデオ業界とともに衰退し、任侠ものも時代遅れという時期でしたから。制作会社も3度も変わってますし、経営陣から『そろそろ終わりでいいじゃないか』と言われたこともあります」
──そのときは?
「本宮さんが続けさせてほしいと直談判したんです。私はプロデューサーとしては途中参加なのですが、良いスタッフがいて、良いキャストに恵まれていて、そこから発する熱量があった。なにより若手が生き生きしていたんです」
──若手に手を出すようなベテランはいなかった。
「本宮さんがそういうところまで目を行き渡らせていて。それで本宮さんにプロデューサーも兼任してもらい、いけると思いました」