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北島純映画評論家

映画評論家。社会構想大学院大学教授。東京大学法学部卒業、九州大学大学院法務学府修了。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官を経て、経済社会システム総合研究所(IESS)客員研究主幹を兼務。政治映画、北欧映画に詳しい。

4本の映画で理解する「性加害と隠蔽、その告発」 見て見ぬふりの責任も作品は問いかける

公開日: 更新日:

 ジャニーズ事務所性加害事件で芸能界が激震に見舞われている。発端となったのは英BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」(インマン恵監督)。芸能界における権力をかさに着た性加害に光を当てた。そこで今回は「性加害」を正面から取り上げた映画を紹介しよう。

 まずは「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」(マリア・シュラーダー監督、2022年)。米映画界の大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン(71)は長年女優やスタッフに性的暴行を加えていたが放置されてきた。ニューヨーク・タイムズが取材するも、被害者は口をつぐみ証言が得られない。示談した際の秘密保持契約が疑惑を封印していたのだ。その壁を越えて17年10月、記事を発表した直後から、SNS上で「私も被害者だ」と告発する「#MeToo運動」が世界に広がり、ワインスタインは強姦罪で禁錮23年の判決を受け収監された(更に禁錮16年の判決も下りたが控訴中)。ピュリツァー賞を受賞したニューヨーク・タイムズの調査報道を2人の女性記者の姿を通して描いた良作だ。製作総指揮のひとりにブラッド・ピットが名を連ねている。

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