4本の映画で理解する「性加害と隠蔽、その告発」 見て見ぬふりの責任も作品は問いかける
ジャニーズ事務所性加害事件で芸能界が激震に見舞われている。発端となったのは英BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」(インマン恵監督)。芸能界における権力をかさに着た性加害に光を当てた。そこで今回は「性加害」を正面から取り上げた映画を紹介しよう。
まずは「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」(マリア・シュラーダー監督、2022年)。米映画界の大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン(71)は長年女優やスタッフに性的暴行を加えていたが放置されてきた。ニューヨーク・タイムズが取材するも、被害者は口をつぐみ証言が得られない。示談した際の秘密保持契約が疑惑を封印していたのだ。その壁を越えて17年10月、記事を発表した直後から、SNS上で「私も被害者だ」と告発する「#MeToo運動」が世界に広がり、ワインスタインは強姦罪で禁錮23年の判決を受け収監された(更に禁錮16年の判決も下りたが控訴中)。ピュリツァー賞を受賞したニューヨーク・タイムズの調査報道を2人の女性記者の姿を通して描いた良作だ。製作総指揮のひとりにブラッド・ピットが名を連ねている。