漫画家・影木栄貴「婚活はRPG。結婚したいと全世界にアピールするしかありませんでした」
「黙って座っていれば声かけてもらえる年ではないので」
──婚活はどのように?
「とにかく結婚したいと全世界にアピールするしかありません。黙って座っていれば声かけてもらえる年ではないので、婚活はRPGですね。紹介してくれたり、知り合いのパーティーでバツイチの男性を捕まえたり出会いを繰り返して(笑)」
──ご主人は整体院の先生紹介の鍼灸マッサージ師さんでバツイチだそうですね。
「バツイチの男性は現実が見えていますから。“30代はない、20代じゃないと”とか娘みたいな年齢を結婚相手に望んだりしませんし(多分)、ありのままを受け入れてくれます。うちの夫は基本的に『いいよ』っていうスタンスですね。パチンコ行ってくると言えば『勝ってきてね』って言ってくれるし。結婚後初めて夫の実家に行くつもりが急病で行けなくなっても『全然大丈夫だよ』と言ってくれますし」
──別居婚で自身は実家住まい、夫は近所に住み、差し出したのは名字だけだそう。
「別居婚なら日常のストレスがたまらないし、スピード離婚に至らないと思うんですよね。50代はバリバリ働けるから、健康年齢が損なわれる60代70代になって、お互いに助けが必要になってから同居でもいいかなと思っています」
──新著の帯は義妹・北川景子がコメント。弟夫婦とも仲がいい。
「漫画でも描いたのですが、独身でも1人にはさせない、と断言してくれて、言葉に表せない幸福感と安心感があります。景子ちゃんは子供たちの教育やかかるお金とかしっかり考えていて、私に子育ては向かなかったなと痛感します。実家で甥や姪の成長を見て可愛がっているくらいがちょうどいいです。遺品について、全て景子ちゃんに託すから、そこから分けて欲しいって話をしています。弟のDAIGOは7歳下で、平均寿命からすると死期は同じくらい。景子ちゃんは15歳下なので託せると思っています。私も祖母のアクセサリーを持っていて、形見で祖母を感じることもできますし、いざというときは換金できるし……甥や姪に喜んでもらえたらいいなと」
──長年、株の資産運用もしている堅実派。
「結婚で安泰はないですし、男女問わずつまずいたときに自分の力で立てるようにすべきだと思っています。学生時代に小田急線の駅やマクドナルドでバイトしていましたし、大学卒業して社会人経験もあるので、家族の中では一番お金にはシビアかもしれません。この前、同窓会で77歳の先生が『人生100年時代です。周りのご老人がお金に困っています。貯金して下さい、今から!』と言っていたんです。生の声を聞いて“やっぱりそうなんだ”と思うと同時に『私たちの世代は投資もしなきゃダメです!』と付け加えたかった」
──本書では性についても触れ、ブックレビューでは「家柄も良く、仕事も成功して何も困っていないのにわざわざ自分の恥部をバンジージャンプのごとくさらす」とのコメントも。
「30歳まで経験がなかったことがすごいコンプレックスで。性の話は友達ともしにくいですが、私の本をきっかけに皆さんが話せるようになるといいなと思います。日本は多様性と言いながら、まだまだ理解が深まっているとはいえない。私が50歳で結婚するのも多様性ですし、もっと多様性の概念も広く、受け入れる社会になって欲しいですね」
(聞き手=岩渕景子/日刊ゲンダイ)
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婚活する以上は当然ながら入籍が目的……とは限らないのが最近のトレンドらしい。●関連記事【もっと読む】結婚相談所でも増えてきた…「事実婚」「夫婦別姓」を選ぶ理由…では、昨今の婚活の実情について伝えている。