<13>女性とHをするためだけに金持ちになったと公言「ホステスさんは私の財布が目当て」
午後1時すぎのホテルは閑散としていてロビーや喫茶店に誰もおらず、話を聞くには絶好の場所だった。窓からは田辺湾の青い海が広がり、何かの養殖をしている仕掛けの黄色いウキも見え、漁船も数隻浮かんでいるのどかな光景だった。
名刺を交換し、一歩一歩探るように質問を始めた。まずジェシカ事件のこと、交際クラブのことを根掘り葉掘り聞きだし、それからドン・ファンが資産家になった経緯を聞きだしていく。
彼の性格なのだろうが、順序立てての話が苦手のようで、ジェットコースターのように話が急に前にいったり後ろに戻ったり、唐突に知らない人の名前が出たりと、なかなか会話が進まない。その間にも彼の携帯電話が何度も鳴るので中断した。
「予定の時刻です」
女性の声が携帯電話から流れてくるが、なんとこれはドン・ファンの携帯電話の着信音である。本人はマナーモードへの切り替えが分からず、裁判中の法廷で「予定の時刻です。予定の時刻です」という声が響いてしまい、彼が慌てることが何度もあった。