“国民的アイドル”天地真理の劇的半生を辿る 醜聞の数々、衝撃の復活、そして独居老人生活
池袋の映画祭りで元気な姿を見せた「隣の真理ちゃん」
天地は11月の誕生日で71歳になる。今の時代、まだ老け込むような年齢ではない。だが、天地は60歳を過ぎた頃から急に衰え始めたようだ。
埼玉県大宮市(現・さいたま市)で生まれた。中古車販売業の父、保育士の母の間に生まれた一人っ子。1歳で両親が離婚し、母親の女手一つで育てられた。母親違いの弟が2人いる。国立音大付属高声楽科を卒業。家は転々とした。大宮から東京・中野、世田谷、高校に入ってからは練馬、神奈川・座間……。1年ほど、ある芸能プロにいたが、大手の渡辺プロダクションに移り、1971年、20歳でデビューした。
全盛期は4年ほど。デビュー当時の月給は300万円。最高は1000万円、渋谷・松濤に6000万円のマンションを買ったこともあるというのだが、あくまでも自己申告である。
しかし、デビュー7年目の77年を境に転がり落ちるように生活が一変していく。ロマンポルノやヘアヌード写真集などで話題を集め、「浪費癖は直らず、お金に困るようになりました」と語っていた。
時は流れ、2006年には天地の近況を伝えるショッキングな記事が出た。「新潮45」同年1月号の「空前のアイドル・天地真理『空白の謎』を語る」。それによれば、「訪ねた先は、荒川の河川敷にほど近い、足立区内のアパートだった」。天地はここで一人で暮らし、徒歩10分ほどの河川敷に出かけ、グラウンドを見晴らすベンチに座って大ヒット曲「ひとりじゃないの」や「水色の恋」を思いっきり歌うのだという。
「するとね、野球をやっている子どもたちなんかがわいわい寄ってきて、『まりちゃん』って拍手してくれるの」
そして5年後の11年には横浜のマンションに引っ越す。長女Mさんと同居したこともあった。
86年に結婚した青年実業家Aとの間に翌年Mさんが生まれ、96年に離婚。Mさんは天地が引き取って育てたものの、どんな事情かわからないが、別々に暮らしていた。同居はMさんが母親を見守るためだったようだ。
■愛娘からは週に6000円が
ちなみに、このマンションはシニア向けで1LDK、家賃は7万円だった。部屋を管理しているのはファンクラブで生活費はファンクラブの会費によって賄われた。
その4年後、15年には川崎の有料老人ホームに移った。前回書いたように、出版プロデューサーの高須基仁氏が「天地真理が川崎にいるから取材してよ」と言ったころである。家賃14万円、ほかに雑費が4万円ほどかかる。やはり費用はファンクラブが援助しているという。ありがたいファンクラブの存在だ。
「65歳から15万円ほどの年金がもらえる」「所属していた渡辺プロダクションの渡辺音楽出版から3カ月に1回5万円が振り込まれる」「愛娘のMさんから週3回、1回2000円、週6000円が天地の口座に振り込まれる」……ある週刊誌はそう伝えていた。
空前のアイドルの寂しき晩年が目に浮かぶ。
ところが、天地は今月9日、ファンの前に元気な姿を見せたという。池袋HUMAXシネマズ シネマ1で天地真理デビュー50周年企画「真理ちゃん映画祭り」が開催され、そこで天地本人の舞台挨拶が行われたのだ。この映画祭りでは往年のアイドル時代の「愛ってなんだろ」と「虹をわたって」の2本の主演映画も上映された。同映画館に問い合わせると、「取材はお断りしています」ということだった。ただ、年明けには「虹をわたって」のDVDも発売される予定だ。
根強いファンに今も支えられる天地真理。これが復活のきっかけになるのだろうか。