500万人が悩む「便失禁」 保険で症状を改善できる

公開日: 更新日:

「しかし、実際に多いのは、これらの異常がない健康な人の便失禁。高齢者はその傾向が強い。加齢による肛門括約筋の衰え、肛門の感覚や直腸の便意の感覚の低下などが考えられます」

 切迫性、漏出性どちらにも共通した治療法は、「便を整える」こと。

「夜は水分や酒を控える、食物繊維の摂取を心掛ける、適度な運動をする、便意を感じたらすぐにトイレに行くなど、排便に関する生活習慣を見直してもらいます」

 尿道、肛門、膣を締めたり緩めたりする骨盤底筋体操も行うが、一般的には、これだけでよくなる患者は少ない。そこで、下痢止め効果のあるロペラミドと、便の硬さを調整するポリカルボフィルカルシウムの2種類の薬を用いた治療が行われる。

「さらに、切迫性便失禁は、筋電図のセンサーをおしりに刺し、モニターを見ながら骨盤底筋を鍛える『バイオフィードバック療法』を行います」

■欧米では20年前から行われている。「仙骨神経刺激療法」

 これらによって便失禁が改善するのは、6~7割。治療成績を上げるため、これまで欧米を中心に、足の筋肉を肛門に巻きつけて電気で刺激する治療法や、人工的な肛門括約筋を用いた治療法など、さまざまな試みが行われた。しかし、どれも有効性にバラつきがあり合併症もあるなどの理由で、日本で行われることはなかった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…