団塊世代は入院するにも競争が必要に
団塊世代全員が75歳以上の高齢者になる2025年問題。政府は医療対策を本格化させようとしています。
その目玉が病床削減です。病院の入院用のベッドを減らすというのです。高齢者が増える分、ベッド数も増やすべきとする考えもあります。
しかし高齢者の病気の多くは、むしろ老化現象と捉えるべきです。病気ではないので自宅や施設で養生してくださいというのが、政府の姿勢です。
病院のベッド総数は約158万床。そのうち約90万床が一般病床、約33万床が療養病床と呼ばれています。療養病床は長期療養が必要な患者のため、一般病床は精神疾患などを除く病気やケガの患者を入院させるためのものです。
政府案では一般病床を細分化し、重症患者向けの高度急性期病床(18万床)と一般急性期病床(35万床)に再編成します。また余った一般病床と療養病床の一部を統合して亜急性期病床(26万床)に、さらに残りの療養病床を長期療養病床(28万床)に変更しようとしています。一般・療養合わせて123万床あるものを、107万床に削減するわけです。しかも長期療養向けの病床は、33万床から28万床に減らされます。
病院は団塊世代にとって狭き門になりそうです。とくに長期療養が必要な人が希望通りに入院できる確率は、だいぶ下がることになりそうです。
▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)