2025年、終末期の延命治療は金次第になる
政府案では、2025年までに日本の医療は循環型に再編されていきます。患者、とりわけ高齢患者は、まず近所の開業医を受診し、より専門的な治療が必要となれば地域の中核総合病院へ、あるいはさらに各都道府県の大学病院等へと送られていきます。そして退院するとリハビリ病院などを経て、再び近所の診療所に戻り、在宅や施設で療養する。それを何周か繰り返すうちにお迎えが来て、開業医によってみとられる。それが政府の描くシナリオです。
今年の5月、厚生労働大臣が「紹介状なしで大病院を受診した患者には、初診料と再診料の全額を自己負担させる」という政府の方針を明らかにしました。2025年までには、紹介状なしの患者の負担は、もっと増えるはずです。
これは軽症患者を大病院から締め出すための策ですが、もっと深い意味があるという人もいます。
終末期を迎えた高齢者でも、大病院であらゆる手を尽くせば多少の延命が可能です。しかし政府が描く循環型医療が実現すれば、そのなかでの延命治療は切り捨てられていくことになります。もちろん循環から離脱することもできますが、希望者全員に延命治療を許してしまうと医療費がかさむ一方です。となれば相応の受益者負担を負ってもらわなければなりません。そういう時代が目前に迫っているというのです。
▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)