2025年問題
西暦年と問題を組み合わせた造語の始まりは、2000年問題です。
以前のコンピューターはメモリーの都合から、1999年を「99」と省略して記憶していました。2000年になった途端、それが「00」になるため、システムが暴走。世界は大混乱となる――。
しかし、実際には、何も起こりませんでした。その後、毎年のように新しい問題が提起され、いまでは20XX年問題としてくくられています。
中でも注目を集めたのが2007年問題と2012年問題でした。団塊世代が60歳に達し、一斉に退職が始まったのが07年、その団塊世代が65歳の高齢者の仲間入りを開始したのが12年。
2007年問題を受けてスタートしたのが後期高齢者医療制度(08年4月施行)。2012年問題は今回の消費税引き上げの動機となりました。
そしていま最も注目を集めているのが2025年問題。団塊世代は1947年から49年生まれですから、2024年中に全員が75歳に達します。年が改まった25年は団塊世代全員が後期高齢者。超高齢社会の新しいステージが始まるのです。
2025年問題を見据え、政府は医療制度そのものの大幅な変更や、病院の再編成を進めようとしています。医療業界はその話題で持ち切りです。なにが起ころうとしているのか、来週から少し眺めていくことにしましょう。
▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)