胃瘻手術がなくなる?

公開日: 更新日:

 なにかと批判の多い高齢者の胃瘻(いろう)に、さらなる逆風が吹き荒れています。今年4月からの診療報酬改定で、手術費用が大幅に下げられたのです。昨年度までは、胃瘻を1つつくるごとに病院は10万700円を稼ぐことができました。ところが、それが一気に6万700円に減額です。

 なんと4割減!業界では「胃瘻ショック」などといわれています。それでは厳し過ぎるという配慮なのか、「胃瘻造設時嚥下(えんげ)機能加算」という項目が新設されました。胃瘻手術の前に患者の嚥下能力を適切に評価すると、これを加算することができるのです。ただし厚生労働省が定める条件を病院が満たしているかどうかで、金額が異なります。満たしていれば2万5000円、満たしていなければ2万円です。たとえば胃瘻手術を年間50件以上(ただし頭頚部(とうけいぶ)がん患者を除く)行っている病院では、そのうちの35%以上の患者を、1年以内に口から食べられるように回復させなければなりません。胃瘻患者は認知症脳梗塞が進んで口から食べられない高齢者ばかりです。この条件をクリアできる病院は、ほとんどないのではないかといわれています。そうなると胃瘻1個の値段は6万700円プラス2万円で、8万700円なり。

 実にマイナス2万円!
病院も商売です。新規の胃瘻手術はかなり減るに違いありません。

▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

【連載】健康医療データの読み方

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出