甘く見るな! 4月がピークの「黄砂」には汚染物質がびっちり
スギ花粉の飛散もピークを過ぎ、ホッと一息ついている人も多いだろう。しかし、これから5月ごろにかけては「黄砂」が猛威を振るう。深刻な健康被害を引き起こすので、甘く見てはいけない。
黄砂が飛来する季節になると、各地の病院で咳がひどい、目がかゆい、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が悪化したなどと訴える患者が急増するという。
黄砂は、中国内陸部の砂漠や黄土地帯で舞い上がった砂の粒子が、偏西風に乗って日本に飛来したもの。2010年ごろから増加傾向にあり、中国に近い西日本だけでなく関東でもたびたび観測される。屋外のクルマや洗濯物が砂まみれになった経験がある人も多いだろう。3月から5月にかけて多く飛散し、4月にピークを迎える。この時季になると、黄砂による健康被害が増えるのだ。
日本呼吸器学会専門医で「水谷内科呼吸器科クリニック」(東京・大泉学園)院長の水谷清二氏は言う。
「黄砂の主成分はシリカ、カルシウム、アルミニウムで、大気中の物質が吸着しやすい性質があります。細菌、カビ、PM2.5や重金属などの汚染物質がたくさんくっついているので、さまざまな疾患を引き起こしたり悪化させたりする原因になるのです。しかも、黄砂の粒子の大きさは4マイクロメートルで、スギ花粉の1000分の1ほどの体積しかなく、人間の赤血球よりも小さい。そのため、吸い込むと肺の奥まで入り込みやすく、タチが悪いのです。黄砂そのものが目、鼻、肺、気管支などの粘膜を傷つける上、付着している細菌やカビなどが体内でアレルギーや炎症を引き起こします」