当事者が語る 「レビー小体型認知症」を発症して分かったこと
問題は、医師をはじめ、認知症が正しく理解されていないことなのです。最初に診断された時、“坂を転がり落ちるように記憶も知性も人格も命も失われていく病気だ。私にはもう未来はない”と絶望と恐怖を感じました。進行を遅らせるためにできることを医師に聞くと「ない」と言われ、命綱を断たれた思いでした。若年性で自殺を考える方は少なくありません。
この病気にはさまざまな幻覚があり、私も虫や人の幻視を見て怯える毎日でした。本物と全く同じリアルさで、区別がつきません。そんな物が見える自分が恐ろしかった。でも、幻視は正常な思考力、精神状態の時に見えるのです。本物にしか見えない幻視に正常に反応すると妄想や錯乱と言われ、狂人扱いされます。それが患者を苦しめ、ストレスで症状を悪化させます。
■「右肩下がりに悪化するのは間違い」
認知症は右肩下がりに悪化する一方と医師は言いますが、違います。慎重で適切な治療が大前提ですが、不安などのストレスで悪化し、人と楽しく笑い合うことが一番症状を改善することを実感しています。運動など血流を良くするさまざまなことも効果があります。