世界中で警告続々 「糖質制限ダイエット」は本当に安全か
日本でも、13年に国立国際医療研究センター病院の糖尿病内分泌代謝科の能登洋医長(現・聖路加国際病院内分泌代謝科医長)の研究で、「糖質制限食を5年以上続けると死亡率が高まる」と報告されている。30歳以上の約27万人を対象に5~26年間追跡した調査を分析したところ、糖質を1日の総摂取エネルギーの30~40%にした低糖質グループは、60~70%にした高糖質グループに比べて死亡率が31%アップすることが分かった。
また、アメリカ国立衛生研究所が行った1万人を対象にした研究によると、厳格な糖質コントロールを行って血糖値を下げたグループは、標準レベルの血糖コントロールを行ったグループに比べて21%も死亡率が高かったという。
糖尿病専門医で「しんクリニック」の辛浩基院長は言う。
「厳格な糖質制限が安全なのかどうかについてはまだはっきりしたエビデンスがありません。しかし、それだけを長期にわたって厳格に実践してしまうと、代謝のバランスが崩れたり、腎臓に負担がかかるなどして、悪影響が出る可能性があると考えられます。糖質制限は糖尿病の治療法のひとつではありますが、あくまでも補助的なもの。血圧やコレステロールの管理などと合わせ、トータルで行うべきなのです」
糖質制限ダイエットを実践した日本のある医師は、アッという間に15キロ痩せたというが、すぐに病院に駆け込むほどの体調不良に見舞われている。そもそも、ダイエットで落としてもいい体重は、1カ月で体重の5%といわれる。急激に体重が落ちる糖質制限ダイエットは、慎重になったほうがよさそうだ。