“こぶとり爺さん”もガンだった? 「耳下腺腫瘍」に要注意
さらに、良性腫瘍にも「多形腺腫」や「ワルチン腫瘍」などの種類があり、最も数を占める多形腺腫は後にがん化することがある。どんな多形腺腫が、いつがん化するのか分かっていないというから、注意が必要だ。
良性でも悪性でも、耳下腺腫瘍の治療は基本的に手術となる。前述のように「良性腫瘍と低悪性度の区別が難しい」「良性腫瘍の中にもがん化するものがある」といった理由に加え、消化器系のがんや呼吸器系のがんなどでは一般的に行われる生検が、耳下腺腫瘍では術前にできないため、手術が選択される。
「生検などによって、がんが散らばるリスクがあるのです。術前はMRIやCT、超音波で検査をしますが、病理検査をするのは手術で腫瘍を切除してからになります。手術をしてから、『やはり良性腫瘍だった』と分かるケースもあります」
耳下腺腫瘍は、原因が明らかになっておらず、当然ながら、どういう人が発症しやすいかも分かっていない。
「患者さんは10代もいれば、40代以上の中高年もいます。幅広い年代にわたっています」
決して数の多いがんではないが、「自分は大丈夫」とは言えないことは確かである。