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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

子宮頸がんのワクチン問題 男も女も接種すれば撲滅できる

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 では、ワクチンの効果はどうか。騒動でワクチン接種の積極的勧奨は中止されましたが、その後継続されたとすると、接種者は約170万人。HPVにはいくつかの型があり、ワクチンがカバーするのは全体の7割ほどで、ワクチン接種で回避できる死亡は約6000人と推計できます。子宮頚がんは毎年1万人が発症し、3000人が命を落とす病気です。

 冒頭の言葉で「撲滅」とありましたが、ワクチンのカバー率が7割ですから、現状はすべてではありません。それでも、リスクとベネフィットをてんびんにかければ、ワクチンの効果は極めて高いといえるでしょう。

 WHOも安全性と有効性を認め、定期接種として接種を推奨。接種が停滞する日本に警告しています。HPVウイルスはセックスで媒介され、男性が感染すると尖圭コンジローマや陰茎がんなどの発症リスクになり、海外では男性の接種が推奨される国もあるほどで、男女とも接種してHPVを一網打尽にするのが世界の最先端です。

 実は、百日咳ワクチンも、HPVワクチンと同じような流れを踏みました。ワクチン接種後に2人の子供が亡くなったことから、接種が中止に。ワクチン効果で1万人からゼロになった死者が、中止後の3年間で113人に増えました。その後の調査で、2人の死因は遺伝性のてんかんと判明しています。

 このことからも分かるように、ワクチンを巡る問題は、冷静な対応が必要です。

【連載】Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

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