手術の前に…逆流性食道炎は「ARMS」で治すという選択肢
現時点で、ARMSを受けた患者は70人いるという。
「薬物療法では効果がない患者さんが対象です。ただし、食道と胃のつなぎ目が緩み、それが胸の方に『滑脱(ずれ)』している場合は、従来の外科手術になります」
条件を満たしていても暴飲暴食や早食いがやめられないような人には、井上医師は外科手術を勧めている。それらの生活習慣は、ARMSの効果を弱めるからだ。
「外科手術で期待される効果が100点だとしたら、ARMSは70点。十分に合格点ですが、生活習慣によっては向いていない人もいるのです」
ARMSを受けた人のうち5割は薬を飲まなくても症状がなくなり、5割は薬で症状をコントロールできる。それまで薬が効かなかったが、治療によって効くようになる。
現在は自費診療で、「3割負担の人が手術を受けた時に払う金額」と同程度とのことだ。
逆流性食道炎は暴飲暴食と関係が深い。つまり逆流性食道炎になる人は、ほかの生活習慣病のリスクも抱えており、近い将来、糖尿病、高血圧、脂質異常症などを発症する可能性が高い。逆流性食道炎の治療の選択肢が増えたのをきっかけに、「将来」を考えて生活も改めるべきだ。