著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

寿命とコレステロール 高コレステロールが寿命を延ばしている可能性も

公開日: 更新日:

 戦後、日本人の寿命はどんどん長くなり、今では世界一の長寿国になっています。読者の皆さんもよくご存じでしょう。背景のひとつに、栄養状態の改善があることは間違いありません。

 栄養状態の改善を示すひとつの指標として、コレステロール摂取の増加があります。以前、取り上げたように、脳出血による死亡が減ったというのはまず間違いないでしょう。さらに、前回見たように、がんが減った可能性もあります。

 個別の病気として候補に挙がるのはそれくらいですが、実際にコレステロールと寿命の関係を見た研究結果は、「コレステロールが低い」人のほうが寿命が短いという意外な事実を示しています。

 この関係は複数の日本人を対象にした研究で示されています。そのうち私が関わった自治医大のコホート研究の結果では、総コレステロールが「140mg/dl未満」では、「140~200mg/dl」の人に比べて、男性で1・38倍、女性で1・42倍死亡が多いという結果です。逆に総コレステロールが「240mg/dl以上」の人では、男性で1・21倍高い傾向が見られたものの、女性では0・93倍とはっきりした死亡の増加が示されませんでした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…