“新しくない”新薬が続々登場 古い薬が見直されているワケ
■かつて薬害を起こした薬も
薬の見直しは、かつて薬害で消えた薬にも及んでいる。
2008年10月に抗多発性骨髄腫薬として認可された「サリドマイド」(商品名サレドカプセル)は1957年に開発された睡眠鎮静薬。日本でも1958年から不眠症、手術前の鎮静、つわり止めなどに広く使用されていた。ところが1960年ごろ、サリドマイド内服が重度の先天異常や胎児の死亡を引き起こすことが世界各国で問題となり、販売中止となっていた。
「その後、サリドマイドに抗炎症・免疫調節作用、血管新生抑制作用などがあることが判明。多発性骨髄腫に対する有効性が認められたことから、1999年に米国で承認され、その後、欧州などでも使用されるようになっています」
抗マラリア剤である「クロロキン」は、眼底の黄斑障害により視野が狭くなるという重篤な薬害を引き起こした。しかし、2015年からクロロキンの誘導体ヒドロキシクロロキン(プラケニル)が、皮膚及び全身性エリテマトーデス、関節リウマチの治療薬として使われている。