【がん患者の心のケア】聖路加国際病院・リエゾンセンター(東京都中央区)
「がんになると患者さんの思考パターンは、『がんになった』→『なぜ、なったのか』→『再発が心配』→『死ぬのは嫌だ』→『がんにさえならなければ』→『でも、なった』などと負の連鎖を起こします。それを断ち切るためには、何かに集中させるのがいい。その手段のひとつとして瞑想を用いるのです」
不安や抑うつ気分に対しても同様。瞑想によって何かに集中することで、一時的にがんのことを考えないようにするのだ。
■毎月100人以上が参加
瞑想には「食べる瞑想」や「歩く瞑想」など、さまざまな行為や行動が応用できるが、保坂部長が最もよく用いるのはマインドフルネスの基本となる「呼吸瞑想」だ。
「具体的には、意識を呼吸することのみに集中してもらいます。冷たい空気が鼻の中に入っていき、暖かい空気が鼻から吐き出される。それを体で感じ取る。しかし、それでも余計な雑念が浮かんできます。そうしたら、さらに集中力を高めるように、体で感じ取っている呼吸を頭の中で実況中継をするように指導しています」