いまの「ホスピス」は入院が長くなると退院を勧められる
ホスピスは最期をみとってくれるところではなかったのか? 在宅となると、訪問看護や往診の医師が来てくれても、ずっと誰かが居てくれるわけではない。今は、痛みもなく苦しくもないが、だんだん動けなくなってきた時、ひとりでどうすればいいのだろう……Pさんは不安になりました。
そこで、通院中のZ病院の相談室を訪ねました。すると、「最近は、入院に対する考え方が変わったホスピスもあるようです。入院期間が1カ月以上になると診療報酬が下がり、病院の収益が減ってしまうのです。在宅では難しいですか? いつでも連絡できるコールを付けることや、24時間ヘルパーもありますよ」とのことでした。そして、「最期をみてくれる病院や有床診療所はいかがですか?」とアドバイスを受けました。
Pさんはその後、食事が取れなくなって有床診療所に入院しました。幸い、今は安心して過ごせているとのことです。
ある緩和関係の医師は、「がん終末期の患者は、亡くなる数日前まである程度ご自身のことができている方が多く、在宅は可能だと思います。また、80%の方は自宅での最期を希望されているのです」と言います。しかし、希望と個々の現実は違っていて、しかも今は独居の方が多い時代です。ホスピスでは、患者さんそれぞれの希望に沿って対応されていると思います。
しかし、入院が長くなると退院を勧めるとなれば、患者さんの不安は募るばかりなのではないでしょうか。