世界の主要死亡原因ではトップだが今からでも予防は可能
健康で長生きするためには動脈硬化対策が最も重要で確実な手段――。榊原記念病院常勤顧問・伊東春樹医師に5回にわたって話を聞いた。
WHOの最新発表によると、世界全体5640万人の死亡のうち、半分以上がトップ10の原因による。トップ10とは、虚血性心疾患、脳卒中、下気道感染症、慢性閉塞性肺疾患、気管・気管支・肺がん、糖尿病、認知症、下痢性疾患、結核、道路交通傷害だ。
このうち、圧倒的多数を占めるのが、1位、2位の虚血性心疾患と脳卒中だ。合わせると死者数は1500万人に上り、過去15年において、世界の主要死亡原因の地位をキープし続けている。
「虚血性心疾患の予防対策や治療技術は向上しており、全人類の平均寿命を延ばすことに大きく貢献しています。ところが、主要死亡原因であることは変わらない。なぜなら、虚血性心疾患、脳卒中ともに生活習慣が原因の動脈硬化が関係しているからです」
一般的に動脈硬化は、「老化で動脈の血管壁が硬くなる」と思われている。しかし、透析患者ら特殊な例を除き、血管壁の内側の「血管内皮」の異常で血管壁の内側に酸化LDLコレステロールなどが蓄積し、血管壁が内腔へ盛り上がり、狭くなって血流が悪化。それによって、血液が詰まりやすくなる状態が動脈硬化なのだ。