「卵円孔開存」は術後の感染症心内膜炎リスクを高める
そのため、大動脈二尖弁による弁置換の治療を行う際は、細心の注意を払って卵円孔が開いていないかどうかを確認しています。卵円孔開存の患者さんは、弁の交換と同時に穴を閉じる処置を行っています。かつては、卵円孔が術後に問題を引き起こすことが分かっていなかったため、穴があってもまったく気にすることなく、そのまま手術が行われていました。しかし近年は、穴をふさぐことで血液の行き来をなくし、細菌が弁に巣くって感染性心内膜炎を引き起こす可能性を根絶やしにしておくのです。足の静脈にできた血栓が卵円孔から左側の心臓に入って起こす脳梗塞の防止にもなります。
卵円孔開存は、大動脈二尖弁と僧帽弁閉鎖不全症の患者さんに多く見られます。若いころに心臓弁膜症を発症して心房に負荷が加わると、静脈圧が上がります。すると、いったんは閉じていた穴が再び開通してしまうという可能性も考えられます。そうなると、感染性心内膜炎を起こしやすくなってしまいます。
卵円孔開存は病気ではありませんが、心臓手術、とりわけ弁置換などの心臓の中の構造に手を加えるような手術の場合には、マイナスになるケースが多いといえます。卵円孔開存かどうかは心臓エコー検査で分かるので、もしも心臓手術を受けることになったら、担当医に自分がそうでないかどうかを相談してみるのもよいでしょう。