「遺伝性乳がん・卵巣がん」対策を阻む日本人の家意識

公開日: 更新日:

「英国では『乳房の予防切除で乳がん発症の恐怖と別れられる』と前向きな捉え方。一方、日本では『夫の家族に申し訳ない』『悪い血を受け継がせることになる』と後ろ向きな捉え方なのです」

 乳がんの患者同士でも「遺伝」という言葉を出すと拒否感を示される。HBOCと分かったが家族に隠している人、「結婚も子供も諦めた」という人もいた。HBOC当事者会を立ち上げた太宰牧子さんからは、「(太宰さん以外)匿名希望。リラックスした場でも本名を明かさない。頻繁に呼び名を変える人もいる」と聞いた。

 英国では予防切除経験者が日本とは比べようがないほど多い上に、大半がSNSなどを通して公表しており、取材の協力者を探すのに苦労しなかったが、日本ではがん発症前に予防切除をした人がいない上、乳がん発覚後にHBOCと分かった人の中でも本名での取材に応じてくれる人はごくわずかだった。

「日本には『家』の意識が強く、家のあり方と遺伝のネガティブな考え方がつながっているのでしょう。太宰さんによれば、乳がん患者会には多くの会社の協賛が得られているのに、『遺伝性』となると協賛をことごとく断られるそうです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…