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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

「覚悟はできている」と考えていた患者が3カ月の命だと告げられて考えたこと

公開日: 更新日:

 不動産業を営むRさん(58歳・男性)は、喫煙歴40年になります。家族からも同僚からも「肺がんになっても知らないよ」と何度も注意されましたが、「どうせ、俺はがんか心筋梗塞で死ぬ。たばこなしの人生なんて考えられない」と言って、たばこはやめませんでした。Rさんは「仕事は十分にやった。人生も楽しんだ。いつ、死がやって来ても悔いはない。何があっても覚悟はできている。5歳のかわいい孫と別れるのがつらいだけだ」と考えていたのです。 また、ある医師の著書に「現代人はいつまでも生きる気でいる。死をもっと考えるべきだ。命に限りがあることをもっと自覚すべきだ。死を考えていないから諦めが悪い。死の教育が必要だ。この高齢社会で死生観の確立が必要だ」と書かれているのを目にして、同感したといいます。

「死なない人間なんていない。みんな死ぬんだ。俺は死なんて怖くない。太く短く、立派に死んでやる」

 そんなRさんに、嗄声(声のかすれ)、咳、痰といった症状が表れ、3カ月ほど続きました。Rさんは「喉が荒れただけだろう」と思っていましたが、痰に少し血が混じり始め、妻から診察を受けるように勧められました。深刻に考えることもなく近所の耳鼻科を受診したところ、「左の頚部に硬いしこりがあります。紹介状を書くのでA病院を受診してください」と言われたのです。

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