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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

重要度が増す職場のがん健診 受診率アップと活用のコツ

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■公的検診にないメニューは?

 たとえば、胃がんの検診は公的検診だとバリウムが基本でしたが、2年前からは内視鏡も選択肢に加わりました。人間ドックなどでは、公的検診のメニューにないピロリ菌のチェックも行われています。ピロリ菌が陰性なら、胃がんのリスクはほぼなくなりますから、ピロリ菌チェックも有効です。

 大腸がん検診は、公的検診だと2回の便潜血です。それを毎年1回きちんと受ければ、8割が早期発見できるとされ、大腸がん検診が普及した米国では、大腸がんで亡くなる人が約5万人と、ピーク時の半分程度に減少したのです。

「便潜血では不安」と人間ドックで大腸内視鏡検査を受ける人もいるでしょう。家系にがん患者がいる人なら、無難な選択だと思います。ただし、そうではなくて、便潜血検査で陰性を続けている人は、大腸内視鏡検査は5年に1回程度で十分でしょう。

 それぞれの患者の背景を考慮しながら、個別化した検診を考える時代になっているのです。ですから、公的検診では肺がんのCT検査は推奨されていませんが、ヘビースモーカーには低線量CTの受診も検討すべきと思います。

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