【緑内障治療】タフな視神経をつくり 視機能障害を改善

公開日: 更新日:

 原田氏らが特に注目しているのが、光の情報を脳に伝えるために必要な神経伝達物質グルタミン酸とその輸送体だ。

「この物質には神経毒性があるため、その輸送体により網膜に特異的に存在するグリア細胞(ミュラー細胞)に取り込まれ、代謝されます。このとき抗酸化物質であるグルタチオンがつくられ、抗酸化作用も発揮する。逆にこの輸送体に異常があると、神経毒性と抗酸化機能の低下で視神経がダメージを受けるのです」

 米国ではこの理論から19年前に、8年かけて1100人の患者を対象にアルツハイマー病治療薬として販売されているグルタミン酸受容体拮抗薬・メマンチンを使った緑内障治療薬の開発が進められた。

 ところが、対象患者の緑内障に程度差があったことや検査方法に問題があったことで、偽薬群との差が出ずに開発は中止に。それ以降、製薬会社は費用と時間がかかる新薬開発を断念した。原田氏らはグルタミン酸輸送体をつくりだす遺伝子を欠損させることで、世界初の正常眼圧緑内障マウスをつくりだすことに成功。これを使い視神経を保護する既存の薬を探す研究を進めている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動