志望者たった1割 外科医不足で将来手術ができなくなる?
前回お話ししたように、将来は病気になっても今までのように簡単には入院させてもらえそうにありません。とはいえ、「手術代をカバーできることを考えれば、民間の医療保険に加入する意味はある」と考える人もおられるでしょう。
しかし、その考えも改める必要があります。
実は「手術が受けられない時代」が近づいているからです。
20世紀には、後期高齢者に大きな手術を行うなど、めったにありませんでした。ところが今では90代以上の大手術も珍しくなくなってきています。腹腔鏡手術やロボット手術など、技術の進歩が可能にしたのです。
「それならなおのこと医療保険は必要ではないか」と思われるかもしれません。しかし、それは外科手術を受けられる場合に限っての話です。
実は、手術を担うべき外科医が一向に増えていないのが現状です。毎年約9000人の新人医師が巣立っているのですが、その中で外科を志望するのは1割に満たないといわれています。肉体的にも精神的にもきついうえに、訴訟リスクも高いため、敬遠されているのです。