あと1~2年で実用化 光免疫療法でがん治療は大きく変わる
合併症では、がんの中に血管が通っていたら出血したり、がんが死滅した場所の感染や痛みが起こる場合が考えられ臨床試験でも認められている。近赤外線は一般的に皮膚から3~4センチまでしか届かないが、他にどんながん種の治療に使えるのか。
「がん細胞に発現しているタンパク質に合わせて抗体を変えていけばいいですし、光の種類や強さによっても体内に入る深さが違います。消化管などは内視鏡で光を当てることができます。光の種類に合わせて反応する光増感剤に変えればいいのです。この原理を用いれば、さまざまながん種の治療に応用できます。早期がんの手術の代わりになる可能性もあるのです」
これまで開発されて失敗した抗体医薬でも、再び薬として活用すればコストも安い。また、光を当てるだけなので、治療技術の“均てん化”にもつながる。近い将来、がん治療の選択肢がまたひとつ増えそうだ。
▽1989年岡山大学医学部卒後、同大大学院医学研究科修了。国立病院四国がんセンター内科、2002年から国立がん研究センター東病院。内視鏡部消化器内視鏡室医長、消化器内科長などを経て、14年副院長。15年現職を兼務。〈所属学会〉日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会。