あと1~2年で実用化 光免疫療法でがん治療は大きく変わる
しかし、光免疫療法ではEGFR抗体に光増感剤(IR700)を付けた薬を点滴で投与する。IR700には、近赤外線を当てると熱を放出する性質がある。つまり、EGFR抗体はIR700をがん細胞まで運ぶ「運搬車」の役割をする。そして、がんのある部分に近赤外線を当てると、IR700と結合したがん細胞だけが反応し、熱でがん細胞の膜が破けて死滅する仕組みだ。
■早期がんの手術代わりになる可能性も
では、「光」に「免疫療法」が付いているのは、どういうことなのか。
「熱でがん細胞の膜が破れると、中身が飛び散ります。すると分かりやすく言えば生ワクチンを接種したのと同じようになる。それまでがん細胞を認識していなかった免疫細胞が教育を受けたり活性化することで、新たにがん細胞を攻撃する可能性があると考えられています」
連鎖的に免疫細胞が活性化すれば、近赤外線が当たっていないがん細胞も叩けるというわけだ。EGFR抗体は分子標的薬として使う場合よりも少ない投与量なので、人体への負担は軽いという。光増感剤も時間がたてばいずれ体外に排出されてしまう。