いくら時代が変わろうと「命が一番大事」なのは変わらない
「社会的に役立たない人は延命しないで死んでしまえば……という考えが必ずしも間違っていないように思えて仕方ないのです。……命はいったいなんなのでしょうか? 死にゆく人たちを守るために、これから生きていく命をおびやかすことは果たして許されることなのでしょうか?」
私は、この学生はMさんのような“命の輝き”にまだ出合ったことがないのだろうと思いました。そして同時に、私の頭の中には「生産能力のない老人がどんどん増え、膨大な借金をこの学生らのような次世代に背負わせようとしている現状」が浮かんできたのです。
しかし、それでも、どうしても「命が一番大切なんだ」という思いは変わりません。
1994年5月26日、日本学術会議「死と医療特別委員会」では、国民全体の医療経済上の効率性に触れた箇所で「経済効率の観点から人の生死を左右せしめることは、倫理的及び宗教的に許されるものではない」としています。それから24年がたちましたが、時代は変わろうと一番大切なのは命なのです。
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