著者のコラム一覧
小宮孝泰

1956年、神奈川県小田原市生まれ。明治大学卒。80年、渡辺正行、ラサール石井と「コント赤信号」でTVデビュー。91年に佳江さんと結婚。2001年、31歳の佳江さんに乳がん発症。12年に永眠。今年9月に、出会いから別れまでの出来事をつづった「猫女房」(秀和システム)を上梓。

<10>泣かない「夢の中で泣いてしまったことが妻にバレた」

公開日: 更新日:

 佳江さんは終の棲家である杉並のマンションで過ごしていた。在宅死を希望した彼女のために在宅医療の先生に往診を頼んでいた。

 彼女の命が燃えつきようとしていた数日前、小宮さんは往診の医師に「この2、3日で」と最期の日が近いことを告げられたという。

「在宅医療の先生の大事な話の前だったのか後だったのか、今の私にははっきりしないのですが、その頃、彼女は介護ベッドに寝たままになっていて、私は自分の寝具を妻の横に移動してフローリングの床に敷き、いつでも対応できるように添い寝していました」

 記憶では、明け方近くだったという。決して泣かないと思っていた小宮さんが、その日だけはミスを犯す。

「夢の中で泣いていて、実際に起きてみると泣いていることが私にはよくあります。その日も鼻をすすっていて、目を覚ました佳江にバレてしまった。『どうしたの?』という顔でこちらをのぞいていたので、『ごめん、佳江ちゃんがいなくなるのかと思ったら泣いちゃってたんだ』と答えました。ただ、その時、彼女は『いいよ、……うれしいよ』と、笑顔で私を見ていました」

 2012年10月31日、18時36分――。佳江さんは夫の小宮孝泰と実母に見守られて目を閉じた。

(つづく)

【連載】がん発症の妻にしてあげた10のこと

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭