東大病院のマイトラクリップによる死亡事故で考えられること
そんな僧帽弁閉鎖不全症の進行を食い止める新たな治療法として期待されているのがマイトラクリップです。先端にクリップの付いたカテーテルを下肢の静脈から挿入して左右の心房間を通過させてから僧帽弁に到達させ、ずれてうまく閉じなくなっている2枚の弁の両端をクリップで留める処置を行います。これによって血液の逆流が改善されれば、心臓の負担が軽減されて心不全への移行を食い止めることができるのです。
開胸する必要がないので患者さんの負担が少なく、外科手術のリスクが高い患者さんも受けることができる画期的な治療法です。昨年4月から日本での保険適用が始まり、すでに全国の大病院で実施されています。順天堂医院でもこれまで4例が行われ、すべて問題なく経過は順調です。
東大病院は今回が6例目だったといいますが、男性患者が亡くなった原因は、手技そのものによる合併症ではなかったようです。予想されるケースはいくつかありますが、まず患者さんの心臓の状態がマイトラクリップを行う段階よりも悪すぎたという印象です。
■特別な手技の行程に問題があった可能性も