専門家が解説「運動で痩せること」の難しさと正しい考え方
ところが、普段の生活で使われる筋肉は遅筋線維で、速筋線維は鍛えられないので特別な運動をするしかない。しかも、40歳を境に筋肉の合成が分解に追いつかなくなり、速筋線維から痩せていく。
「これにあらがい筋肉を大きくするには、トレーニングで筋肉を何度も収縮させ、筋線維内にあるタンパク質合成工場『リボソーム』を活性化させ、その数を増やす必要があります」
それには、ダンベル運動など負荷の大きな運動を繰り返さなければならない。しかも、体重を減らしつつ筋肉をつけるとなると、さらに難しい。
「運動の前後に高タンパク質、糖質を抑えた食事を取り、高度な負荷運動、長時間の有酸素運動を長期間続ける必要があります。一般の人がこんなストイックな生活を継続するのは、並大抵の努力ではできません」
筋肉は血液中の糖を貯蔵し、それを動かすことでさまざまなホルモン様物質を血液に分泌して、全身に影響を与えている。
運動が健康にいいことは間違いないが、ダイエットの視点で考えた場合、運動のみで痩せるのは効率が悪い。きちんとした食事と生活習慣を視野に入れることが大切だ。