性器ヘルペス<2>女性の罹患率は男性の2倍で重症化しやすい
結果、男性から女性に感染する確率(16.9%)は、女性から男性に感染する確率(3.8%)の4倍以上高いことが示されたという。
HSVの初感染時はウイルスに対する免疫がないため、症状が激しく出る。特に女性の初感染は、男性に比して深刻だ。
「女性では、性器の左右対称に水膨れが破れた多数のびらんができるので、排尿すると痛い『膀胱(ぼうこう)炎様症状』が出る。そのため『歩行障害』も起こります。また『排尿障害』『便秘』などの末梢神経まひを伴うこともある。時に『強い頭痛』『項部硬直』などの髄膜刺激症状を伴う場合もあります。男性に神経症状が出ることは女性に比べて非常に少ないです」
また、初感染例ではHSVが仙骨神経根に直接進展して、限局性の髄膜脊髄炎を起こす場合がある。そして、尿意を感じない神経因性膀胱の状態になると「エルスバーグ症候群」と呼ばれる。こうなると尿が出なくなるので、膀胱にカテーテル(細い管)を留置して、2~3日の入院が必要になるという。
「女性の性器外のヘルペスには、乳頭から乳輪にかけてびらんが多発し、痛みを伴う症例もあります。これは口唇ヘルペス(口の周りに水膨れができる)にかかった男性が乳首をなめることによりHSV1型に感染し、発症します。ただ、乳首に再発することはまれです」