著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

同じデータに基づきながら正反対の解釈が可能だと理解する

公開日: 更新日:

 高齢者で炭水化物の摂取割合が高いという結果は、昔の人は炭水化物をたくさん取っているということの反映かもしれません。実際に加齢によって摂取割合が減っているのかもしれないし、いろいろな可能性があるという話をしてきました。

 今回は、もうひとつ別の解釈を示しましょう。もし炭水化物の摂取量が低く、脂肪を多く取る人が短命だとしたら、どういう結果になるでしょう。炭水化物をたくさん取る人が生き残るわけですから、高齢になるにしたがって炭水化物の摂取割合が高くなります。つまり、この摂取割合の変化は、炭水化物の摂取割合が高く、脂肪摂取割合の低い人ほど長生きという、長生きの要因を示しているのかもしれません。若者を見習って炭水化物を減らすと、かえって健康に悪いかもしれません。

 ここで見たように、同じデータに基づきながら正反対の解釈が可能です。どちらの解釈もそれなりに理屈が通っていますから、片方だけを示されてこうだといわれるとだまされてしまうかもしれません。

 この調査ではデータを示しただけで、その解釈は示されていませんが、このデータを使っていろいろなことを言う人が出てきます。炭水化物が重要と言いたい人はそういう解釈を広げたいでしょうし、炭水化物は良くないと言いたい人はそうした解釈を広めたいでしょう。そして、そうした意見にだまされないためには、どちらの主張もある程度理屈が成り立つ中で説明できてしまうことを十分理解しておく必要があるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 5

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  1. 6

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ

  2. 7

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 8

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  4. 9

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 10

    芳根京子も2クール連続主演だが…「波うららかに、めおと日和」高橋努も“岡部ママ”でビッグウエーブ到来!