同じデータに基づきながら正反対の解釈が可能だと理解する
高齢者で炭水化物の摂取割合が高いという結果は、昔の人は炭水化物をたくさん取っているということの反映かもしれません。実際に加齢によって摂取割合が減っているのかもしれないし、いろいろな可能性があるという話をしてきました。
今回は、もうひとつ別の解釈を示しましょう。もし炭水化物の摂取量が低く、脂肪を多く取る人が短命だとしたら、どういう結果になるでしょう。炭水化物をたくさん取る人が生き残るわけですから、高齢になるにしたがって炭水化物の摂取割合が高くなります。つまり、この摂取割合の変化は、炭水化物の摂取割合が高く、脂肪摂取割合の低い人ほど長生きという、長生きの要因を示しているのかもしれません。若者を見習って炭水化物を減らすと、かえって健康に悪いかもしれません。
ここで見たように、同じデータに基づきながら正反対の解釈が可能です。どちらの解釈もそれなりに理屈が通っていますから、片方だけを示されてこうだといわれるとだまされてしまうかもしれません。
この調査ではデータを示しただけで、その解釈は示されていませんが、このデータを使っていろいろなことを言う人が出てきます。炭水化物が重要と言いたい人はそういう解釈を広げたいでしょうし、炭水化物は良くないと言いたい人はそうした解釈を広めたいでしょう。そして、そうした意見にだまされないためには、どちらの主張もある程度理屈が成り立つ中で説明できてしまうことを十分理解しておく必要があるのです。