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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

75歳以上男性は60%超 昔の人は炭水化物の摂取率が高い?

公開日: 更新日:

 平成29年の国民健康栄養調査の実際のデータを見てみましょう。75歳以上の男性で炭水化物の割合が61.3%、脂肪が23.7%です。それに対して20歳代ではそれぞれ56.5%、29.2%となっています。この変化については、いろいろな考え方があります。

 パッと思いつくのは、年を取るにつれて、炭水化物を取る割合が増え、脂肪を取る割合が減るのだという解釈です。しかし、そう結論するには、今の高齢者が若かった時にどんな食事をしていたかを調査する必要があります。平成29年の調査では今の若者との違いを見ているだけで、年齢の影響による変化と結論することはできません。

 それではさらに別の説明はできないでしょうか。例えば昔の人は炭水化物の摂取割合が高く、最近の人は低いという説明はどうでしょうか。摂取割合の変化は加齢に伴うものではなく、世代の違いによるというものです。もちろんこの説明も仮説に過ぎません。ここでも今の高齢の世代が数十年前に同じように炭水化物の摂取割合が高かったというデータが必要です。ただ、実際の食生活の変化を思い浮かべれば、昔はてんこ盛りのご飯に、みそ汁、おかず一品というのが一般的だったとすれば、この説明のほうが正しいかもしれません。

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