著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

治療の好影響が残る「レガシー効果」を知っていますか?

公開日: 更新日:

「レガシー(遺産)効果」というのは、ある治療をした良い影響が、その治療をやめても一定期間体に残っている、という現象のことです。たとえばコレステロールの高い患者さんが、薬で5年間以上コレステロールを下げておくと、それから薬をやめてしまっても、動脈硬化の病気の予防効果は、5年以上はそのまま続くというような報告があります。

 それでは、糖尿病にも同じようなレガシー効果があるのでしょうか?この点はまだはっきりと分かっていません。比較的初期の糖尿病の患者さんを対象とした研究では、血糖コントロールを一定期間正常に近づけると、その時にはあまり効果がはっきりしなくても、その影響が後で表れて、動脈硬化が減ったという結果になっています。

 しかし、より病状の進んだ患者さんや高齢の糖尿病の患者さんでは、そうした効果は確認されていません。

 今年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に載った論文によると、高齢の糖尿病の患者さんに「5年間厳しい血糖コントロールをしても、その効果は通常の治療と変わりはなく、レガシー効果も認められなかった」という結果になっていました。これは認知症など他の病気にも言えることですが、生活改善や生活習慣病の治療効果は、その時ではなく、10年後、20年後に意味を持つものであるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  2. 2

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  3. 3

    元DeNAバウアーやらかし炎上した不謹慎投稿の中身…たびたびの“舌禍”で日米ともにソッポ?

  4. 4

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋

  2. 7

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  3. 8

    菊間千乃は元女子アナ勝ち組No.1! フジテレビ退社→弁護士→4社で社外取締役の波瀾万丈

  4. 9

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  5. 10

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も