がんも慢性炎症も肥満も… 鍵を握るのは「腸内細菌」
さらに、コリンという動脈硬化を予防する物質をつくり出す細菌も見つかっています。
我々の栄養補給にも深く関わっていることが分かってきました。
たとえば、疲労回復に必要なビタミンB2・B6・B12や葉酸をつくり出しているのです。その量は我々が毎日必要とする量の10~20%に達するとか。
そんな腸内細菌に新たに加わった役割のひとつが「短鎖脂肪酸」の生成です。この物質は、腸の表皮細胞を刺激して、GLP―1と呼ばれる物質の分泌を促します。「グルカゴン」と呼ばれる、インスリンの分泌を調節し食欲を抑制する働きを持ったホルモンの仲間です。つまり、腸内に短鎖脂肪酸をつくる細菌がたくさんすみついている人は、少量の食事で満腹感が得られるため太りにくく、逆の人はなかなか食欲が満たされないため、食べ過ぎて太りやすいというわけです。
腸内細菌をうまくコントロールできれば、個別化栄養の実現に一歩近づくことができそうです。