パワハラを未然に防ぐ「し・か・り・ぐ・せ」の極意
大手広告代理店に勤める女性社員が過労自殺した事件は記憶に新しい。彼女には長時間労働以外にも、上司のパワーハラスメント(パワハラ)があったとされる。
「上司をはじめ、周囲の同僚も自分たちの行為が自殺につながることまでは考えが及ばなかったでしょう」
パワハラにならないためには、まずは「怒る」と「叱る」の違いを知ることが先決だ。
《怒るとは自分の感情を相手にぶつけることで、叱るとは相手のことを想い、注意すること》
これはテニスの松岡修造が日めくりカレンダー「まいにち、修造!」(PHP研究所)の中で述べていることだ。
「怒るときに、相手を承認すると“叱る”に変わると私は考えます。そして叱るときにぜひ、守ってほしい項目は、その頭文字を取って『し・か・り・ぐ・せ』になります」
どういうことか。まず、「し」は身体的接触は絶対禁止。
「多くの会社でパワハラかどうかの認定をするときに最初の基準となるのが、身体的接触があったかどうか。直接叩いたりするのはもちろん、ペンなどで叩く、ものを投げるというのも絶対にやってはいけません。例えば、普段なら肩をポンポンと叩くことは問題にならないのですが、関係がまずくなると『小突かれた』とか、女性なら『触られた』となってしまいます」