耳鼻科専門医が警告 あなたの「副鼻腔炎」が治りづらい理由
■歯科医との連携治療が必要
専用CTの登場でわかったことは他にもある。これまで歯原性副鼻腔炎の原因として上顎洞の炎症のみが注目されてきたが、クリアランス(せん毛による排泄機能)で上顎洞と一筆書きのようにつながっている篩骨洞の炎症は見逃されてきた。ところが上顎洞の炎症を治療した後でも篩骨洞やさらに奥の前頭洞や蝶形骨洞の炎症が残っていて、それが原因不明の頭痛など副鼻腔炎の再発リスクになっているケースも見られるという。
「副鼻腔炎には急性と慢性があります。よく、急性を繰り返すことで慢性に移行するといわれますが、それは鼻の粘膜のせん毛の動きが悪い人を含めた一部にすぎず、慢性副鼻腔炎は別の病気ではないか、という考え方も出てきています。慢性の多くは歯原性であり、急性とは別物という考え方です。私も最初はこの考え方はオカルトではないか、と思ったのですが、実際に私の患者さんのCT画像を調べてみて歯科医との連携がなければ副鼻腔炎は完全には治せないと今では考えています」
慢性副鼻腔炎の治療は手術をしない保存的治療か手術治療に分かれる。保存的治療は3カ月程度を目安に抗生剤を飲む「薬物治療」、噴霧器を使って直接腹腔に消炎剤や抗生剤などを吹き付ける「ネブライザー治療」、副鼻腔にたまった膿を出して薬を注入する「排膿洗浄」の3種類ある。それでも症状が治まらないときは手術になる。