ベトナムであらためて感じた日本の医療と制度の素晴らしさ
現場で提供されている医療についても、それとまったく同じ状況です。ベトナムは、社会主義国で中央集権的な色合いが強い印象があります。大都市の医療機関には最新の医療機器などが揃っていて、高水準の医療が行われていますが、地方の病院は診断に必要な機器すらないところもあって、提供できる医療に限界があるのです。
実際、ベトナムでトップの病院は日本の先端的な病院と同じくらいのレベルの医療を行っています。ただ、高水準の医療が日常的に提供されているわけではなく、「やろうと思えばできる」という段階です。トップレベルの病院でも、日本の水準から見てみると20年くらい遅れている印象です。
■国民皆保険制度によって医師の質も担保されている
これが地方の病院になると、設備や公衆衛生も含めたすべてが40年は遅れています。
昨年、ベトナムを訪れた際はハノイとホーチミンという都市部の病院を視察しただけでしたので、ベトナムのような新興国でも、それなりの医療水準にあると感じました。しかし、今回訪問した地方の病院は想像以上に遅れていて、心電図がないから急性心筋梗塞の治療ができないといった環境でした。さらに、そうした状況をその地方の医者が「この地方の病院だからしょうがないんですよ」と受け入れてしまっている。こうした医者の考え方そのものも、日本とは大きく違っているのです。